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機内でのエクソシスト?

機内でのエクソシスト?


その便はサンフランシスコ行きでした。
私の担当の所には沢山のフィリピン人の人たちが乗ってました。若い人が多くてそれはそれは元気な団体さんでした。
それに飲んだり食べたりと、しょっちゅう呼ばれてはサービスしていました。
映画が始まっても元気にトランプしていて賑やかでした。

それから少したって、機内を巡回中に突然変な叫び声が聞こえてきた。
何かと思って見てみると、先ほどまで 元気に先頭きって張り切っていた一番太ったお姉さんが、泡吹いて倒れていた。
そして程なく白目をむいて、さらにひどく泡を吹き出した。

驚いた私はすぐに応援を呼び、楽な姿勢をとれるように場所を探し運ぼうとしたが、
その女性はゆうに100キロは超えているらしく5人の男性でもなかなか持ち上げることができない。
それに今度は座ったまま飛び跳ね始めた。

「いったい何が起こったの?」と少々焦りつつも何とかしなくては、と必死にやっと寝かせて様子を見ながら
脈や体温を測ろうなんて思っていたが、しかしそれどころではない、まあ跳ねるはねる。

「これってどこかで見た風景だなあ・・・。」と焦りながらも何処か冷静な私が思い出したのは、そう
もう昔の映画になったけどつい最近リメイクされたあの、「エクソシスト」であった。
「そうそうこんなんだったなあ。でも首がグルっと回らないなあ。」なんて思いながらもケア-に勤めた。
でも寝かせつけても跳ねるのはおさまらず、4人の男性は次々跳ね飛ばされる。
事の重大さが増すほど、心の中で「次は怖い声で何か言うのかなあ。」とどこか期待しながら、
とうとう機内でドクターコールをすることになった。

その間彼女の家族に何か病歴や、既往症がないかを 確かめようとお母さんを探し出した。
そしてお母さんが跳びまくっている娘を見ながら言った事は、
「今娘には悪魔がついている。だからお祈りをしなければ・・・。」
これを聞いていた私と仲間のクルーは固まったのは言うまでもない。でも私が心の中で密かに
「お母さん、面白すぎるよー。いいかげんにしてよ。私と思考回路が同じじゃないの。」
そしてじきドクターが見つかり、必要な処置をして下さり彼女の症状は治まってきてほっとした。
もちろん彼女の症状はてんかんだったのです。でも私の頭の中のギャグは回りつづけ、
「そうかー、リンダブレアーっててんかんだったのねー。」
そうじゃないって! 機内は色々な事件があるのよね。



byお月見雪うさぎ