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色々な人生

色々な人生


飛行機って本当に多種多様な人々が乗ってくる。人種も宗教もあらゆるものひっくるめて。
さてある日のフライトの出来事、満席のホノルル便でのこと。

夏休みだったこともあって、かなり多くの小学生も乗ってきた。
搭乗してすぐに中年のおばさんが私の所にやってきて、鼻息荒くこう言った。
「連れと席が離れたので、隣の席にしてよ。!」 とかなり感じが悪い。
もちろんできる限りのことはしようと伝えて、そのおばさんの座席を確認すると、通路側の前後に座っていることがわかった。
その日は他にも座席のアレンジを頼む人が多く、確かに子供連れなのに小さい子一人でぽつんと座っていたりして、
こちらでもあきれてしまうほどだった。
もちろんそんな家族連れのアレンジを必死にやっていても、一度座ると動きたくないのは人情なのでしょうね。
なかなか協力者はなく四苦八苦していた。
最後に乗ってきた小さな男の子も、目に涙をためながら、親に説得されて一人で座っていた。
ご両親も離れ離れで反対側に座っていたので、これこそ何とかしなければと、
色々な人にコメツキバッタのように頭を下げまくって、やっと落ち着いてきた所、

いよいよ始めにクレームしてきたおばさんがつかつかやってきて、こう言ってきた。
「あんたねー子供ばかり優先して、あたしをバカにしてんじゃあないのー。もうあんたには頼まないわよ。」とすごんでくる。
結構私も頭に来たけどそこは仕事だから仕方ない。
もちろん他の誰に頼んだ所で、どうしようもない状態だったのは明らかだった。
それからはずっとおばさんの機嫌がすこぶる悪い。たまに私たちを捕まえては、訳のわからないことを言って怒りまくっていた。
何だろうか。と不思議にさえ仲間たちの間でも話題になっていった。がしばらくしてその理由は明らかになったのだった。
映画が始まり、機内の電気を落として暗くなると、
前後に座っていた例のおばさんたちは、顔を寄せ合い、手を握り合いそしてキスまでしている始末。
「そーかーそーいうことだったのね。理由がわかったよ。」私たちが見ていないと思ったら大間違い。
保安要員の目をばかにしちゃあいけないのよ。

そののち私たち仲間の間でも噂はすぐに広がり、話題の的となった。そして、皆がつぶやいた言葉は、
「うーん人生って色々だねえ。それに日本も国際的になってきたねえ。」だった。
かなり勉強になったフライトだった。それにしても「いいかげんにしてよ」と言いたくなる一日だった。


byお月見雪うさぎ