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聞こえているのよー!

聞こえているのよー!

子供にとって飛行機に長時間乗るのは辛いことの一つ。 
ずっと大人のように座っているのはきつい。当の大人だって辛いけど我慢しているんだから。
さてあるヨーロッパ線からの帰り便、3,4歳の日本人の坊やが乗っていた。 
ずっと眠っていたけど、目がさめてから一人遊びにも飽きてきたらしく、がたがたし始めた。 
そこから少し離れた所に、やはり同じ年頃の外人の男の子がいた。 その子もひまそうでやはり落ち着かない。 

そこで私は考えて、機内後方のスペースで遊ばせることにした。 二人の子を誘って、おもちゃを持たせて後ろに連れて行くと、初めはどこか恥ずかしそうにしながらもお互いを意識してちらちら見ている。 そのうちにお互いのおもちゃで遊び始めた。 もちろん二人ともぜーんぜん言葉は通じないのである。 でも子供ってすごいことにそれでも仲良く遊べるのだ。 関心しながらしばらく二人のお母さんたちと見守っていた。
それからしばらくして、食事サービスも終わり、又二人の様子を見に行くと食事もそっちのけでさらに仲良く遊んでいた。 そして成田空港に無事到着すると、日本人の坊やのママが男の子に、 
「 ほら、遊んでもらったのだから、ありがとうとバイバイしなさい。」 
と促すと、彼は外人の男の子の所に言って、 「 ねえねえ 君はどこ行くの?」 と聞き出した。 
もちろんその子は何を聞かれているのかわからないので、首をかしげると、
「 あーのさー どーこいーくのー?」 とかなりでかい声で聞き始めた。 どうやら彼に聞こえなかったと思ったらしい。
その声にびっくりして外人の子は固まっていると、 さらに大きな声で、
「 どーこいーくのー? まーたあそべるー?」 とどなっている。 あせったのはその子のママ。
あわてて坊やの口を抑えて、やっと動き出した人の波に乗りながら、ずりずりと引きずっていった。
それでも坊やはいつまでも、「 まーたねー  ばーいばーい」と頑張った。
外人の子は頭に???マークをたくさん出しながらも、 笑顔でバイバイをしていた。
この光景かなり笑えたけど、真の国際交流の基本を見たような気がした。
まわりの人たちも、もちろんその様子を笑顔で見送っていた。
私の思い出に残る、とても和やかなフライトであった。


by お月見雪うさぎ