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機内でも、迷子は発生します

機内でも、迷子は発生します


<パート1>
飛行機の機内って、限られた空間でしょう。でも不思議な事に迷子になる人がいるんですよ。それも、子供ではなくって大人が・・。
「いつ?」「どうしてっ?」って思うでしょう。
これがトイレの帰りなのです。
特に、ジャンボなど大きな飛行機のような、真ん中にトイレがある飛行機の時が多い。
出てた時、方向音痴の人はどうも、どちらが進行方向で前か後か分からず、おまけに通路が2つあるものだから、どちらの通路側の席だか分からなくなるらしい。
特に、お年を召した方なんか、「私の席はどこでしょう?」なんて聞かれること多いですよ。
始めは、「もしかして、アルチャン?(アルツハイマー)」なんて思ったけれど、よくよく考えたら、無理もないよね。国内線なんか500席以上座席があるんですから。
ただ、特徴があって覚えているといいんだけど、特徴がなくって、空席が多い時は見つけてあげるのに、機内をグル〜と一回りして、お連れの方を探してあげないといけないから
結構大変な事も。
だって、さすがに機内放送で「迷子のお呼びだしをいたしま〜す。」なんてできないものね。

<パート2>
おばあちゃんとお孫さんの2人で、ロンドンから飛行機に乗ってきた。彼女の名前はあやちゃん。年は4才。1番始めに乗ってきて、彼女は一人でトイレへ。
あやちゃんの席は、飛行機の真ん中に位置する席。トイレの場所もわかっていて、行ったはいいが、どうも自分の席がどこだかわからなくなったらしい。でも彩ちゃんは慌てず騒がず、あたりを見回してばかり。
「おばあちゃんの所に、戻るんでしょう?」と聞くと、当然といった感じでうなずいたので、「あやちゃんの席はここよ」と連れていってあげた。

6時間位たったろうか。サービスも終わり、夜間フライトのため、機内は暗く静まりかえっていた。その時、ピンポーンと、後方のギャレー(キッチン)の傍のお客様からのコールボタン。 「はい、御用でございますか?」と言ったところ、「すいませ〜ん、起きたら私達の膝の上で知らない子供が寝ているんですけど・・・・」
(えっ、知らない子供?)
よ〜く見てみると、暗い中で見かけたことのある赤い服が浮かびあがっている。 (この服、どこかで見た記憶が・・?)と記憶をたどってみると、
(あっ、もしかしてあやちゃん?) 「す、すいません。すぐ連れていきます」と言って、抱こうとした。けれど、4才といえど寝ている子供は、かなり重たい。(ウ〜ン。このまま抱き上げてギックリ腰にでもなったら) と思っていたら、とうの本人は泣くでもなく、ムクっと起き上がった。
「あやちゃん、おばあちゃんの所に帰ろうね!」と言ったら、始めの時と同じように、またまた何事もなかったかのように、ふらふらと歩いて、もとの席に戻っていった。
そして、なぜ彼女が知らない人の膝の上で寝ていたかがわかった。
彼女の席の隣の人は、外人の男性だった。そして、膝の上で寝ていたお姉さんの席の隣の人も外人さん。彼女はわからないなりに自分の隣が外人という記憶だけで、暗い機内で席を見つけて、そのまま眠りについたらしい。
それにしても、泣かずに自分で問題を解決しようとして、その結果、2人の女性の膝を布団代わりにして寝ていたあやちゃんにも、ビックリしたけど、彼女の重みを感じずに、 ず〜と寝ていた2人の女性にも、ビックリ。 でも、起きたとき、見ず知らずの子供が自分の膝の上で寝ていたら、そりゃ〜驚くよね。 でも、彼女達、子供の事を気づかう優しいお客様で、あやちゃんもきっと、柔らかい膝の上でいい夢をみていた事でしょう・・・・


by 怪獣ボスデスモン