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スチュワーデス初体験

スチュワーデス初体験

スチュワーデスになって初めて乗務する時に、どの国へ行ったかというのは強烈に印象に残るものだ。緊急時の対応、英語、接客マナーなど3ヶ月近い訓練のあと、初めて会社から渡されるフライトスケジュールを見るのに皆ドキドキし、教室は蜂の巣を突っついたような騒ぎになる。同期がパリだロンドンだと大喜びする中、私の初フライト先はマニラだった・…。

思い起こせば入社時、3ヶ月間の研修先発表の際も、沖縄だ札幌だと狂喜乱舞する同僚をよそに、私は成田の貨物に配属された・・…。研修といってもフライト前に地上職の仕事も理解しておこうという程度のものなので、沖縄へ行けばマリンスポーツ三昧、札幌へ行けば温泉に海産物食べ放題と楽しいことだらけなのだ。「沖縄配属の人はあまり日に焼き過ぎないように。札幌配属の人は食べ過ぎないように。成田配属の人は・…行商のおばさんと一緒に東京まで出てきてください」苦し紛れにフォローするインストラクターの言葉が今でも忘れられない。

マニラへの初フライトの当日は、早朝出勤のため前夜ろくに眠ることが出来なかった。しかも決められた出社時間の2時間以上も前に成田に着いたので、意気込んで行った割に
オフィスには誰も居ず拍子抜けしてしまった。同乗のクルーと乗務前ミィーティングを終え、緊張の中期待と不安で飛行機に乗り込むも、次から次に搭乗してくるお客さまは、強面の男性ばかり。満席になったマニラ行きの飛行機は、なんとも言えぬ不気味な空気が漂っていた。離陸後、タバコの煙で霞んだ客室の中、朝っぱらから水割りだビールだと飲み続ける乗客に、マニラまでの4時間延々とお酒を運び続けた私であった。初フライトからいきなりスチュワーデスへの憧れは、ガラガラと音を立てて崩れ去ったのである。

BY むーち

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