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恐怖のスタンバイ勤務

恐怖のスタンバイ勤務

「お電話一本で24時間どこへでもお伺い致します!」
何処かで聞いたせりふですが、これは水漏れ修理の宣伝ではありません。私達スチュワーデスのスタンバイ勤務の実態なのです。私がスチュワーデスとして飛び出して間もなくの頃、スタンバイ勤務で呼び出されたのは、ヨーロッパへの2週間のフライト。ベテランとなった今では、ヨーロッパ便と聞けば喜んで出かける私ですが、当時の私は海外旅行なんて学生時代にロサンゼルスへたった1回しか行ったことがなく、初対面のクルー達と2週間も知らない土地で行動しなければならないなんてパニックでした。恥ずかしながら、心細さに泣きながら郷里の母へ電話をしたことを覚えています。結果的にはやさしい先輩方に恵まれ、パリで憧れの「トゥールジャルダン」で鴨料理を食べてルンルンしながらフライトを終えましたが、フライト前の取り越し苦労といったらありませんでした。


スタンバイの呼び出しで一番困ることは、その後のスケジュールが狂い、休みの日の予定がたてられなくなること。たった一日の呼び出し勤務のために、その後の全ての勤務が変更になってしまったなんて事もあります。だからどうしても用事のあるときには、予め有給休暇を申請しておき、その日にはフライトが入らないよう抑えておかなければ、予定のひとつもたてられないのです。

スタンバイ勤務で一番あせった経験は、朝の8時に会社から電話がかかってきて、「今すぐ成田に出社してフランクフルトへ飛んでください」との知らせでした。通常は予め前日に連絡があり、乗務予定を知らされますが、その時はよほど急なフライト変更が行われた様子。朝8時からスタンバイ勤務が始まるのは分かっていたけど、前夜になっても連絡がないので、てっきり明日は自宅待機とたかをくくり夜更かしをした自分を呪いつつ、慌てずに荷造りを開始。いくら日本が暑いとはいえ、広い世の中フライト先も同じように暑いとは限らないので、用意する服を間違えると、滞在先のホテルから一歩も外にでられないなんてことにもなりかねません。

また、日曜日の昼下がりの午後に会社から電話を受け、「今晩の便でホノルルへお願いします」と言われた記憶も。貴重な週末なので、久しぶりに友達と夕食でもなんて考えは甘かった…・。ホノルルへは深夜乗務になるので、朝から早起きしてフル活動していると結構体に堪えます。他にも夜に成田を出発して目的地に着き、そのまま朝成田へとんぼ返りする「夜這い便」と呼ばれる完全徹夜のフライトに呼び出されることもあるし、一番長いニューヨークまでの便は、乗務時間だけで13時間にも及ぶます。どの便に呼び出されても対応できるよう常日頃から体調を整えておかなければなりません。スチュワーデスは、とにもかくにも常に体力勝負なのです。

BY むーち

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