トップ > e-デス ちゃんねる > 愛すべきお客様 > お騒がせインド人

お騒がせインド人

 
 
  お騒がせインド人  
 
ある日サンフランシスコ行きの便に、インド人の夫婦が乗ってきた。
インド人はみんな同じに見えるけれど、年は60代前半といったところかな。全く年齢不詳である。
最近のインド人の進出は目ざましい。昔はほんとにデリー行きぐらいでしかお目にかからなかったが、最近はバンクーバーを始めとしてアメリカにも出没しているのだ。そして必ずといっていいほど、彼らはわがままだ。(インド人の中の善良な方々、決めつけちゃってごめんなさい。)
最近よく接するようになってわかったのだが、とにかく色々言ってみれば、もしかしたら何とかなるかも、と思っているらしい。


その2人も、「薬や医療器具が入っているから絶対チェックインしたくない!」と言ってまるでスーツケースのように大きな自称ピギーを持ち込んできた。大きいだけでなく、岩のように重い。機内で注射でも打つのだろうか?
そして空港では車椅子をリクエストし、悠々とやって来た。席に着いたら、今度は「もっと広い席はないのか?」と手を広げてみせた。
インド人のわがままにかなり慣れてきた私は、今日は満席なので空席はないし、あなたたちの席は前に席がないので他の席よりいい方だ、と言い放った。
実際彼らの席の前は壁だが他の席よりもちょっと広めだし、出入りしやすいのである。満席でみんなぎゅうぎゅうに座っているのに、何をぜいたくな・・。
フライト中は車椅子を使っている方のご主人は、とても元気にキャビンをうろついていた。じっとしているのが疲れるのか茶色いMY毛布を身にまとい、うろうろかなり邪魔だった。


話は変わるが、同じコンパートメントにはホームステイに行く大学生の集団がいた。
その中の1人がもともと風邪を引いていて微熱があったのだが、機内で悪化し、みるみるうちに高熱になってしまった。
本人は頑張っていて意識もしっかりしているのだが、心配だからと念のためドクターコールをした。すぐに日本人の医師が名乗り出て、診察して頂いた。
私も横について影ながらお手伝いをしていると、すぐ横に迫ってくる茶色い物体が・・・。例のインド人であった。
何やらブツブツしゃべっている。飲み物でも欲しいのかな、このくそ忙しい時に!よく聞いてみると、巻き舌の英語で、“I have a medicine.”と言っていたのであった。
そ、そう言えばこの人薬とかいっぱい持ってきたんだっけ・・・ということは協力しようとしてくれてるんだ!
ドクターコールを聞いて、インド人もびっくり!したに違いない。
いやぁ、意外にいい人じゃん。ありがとう、でももうお医者様が診てくれているから、お気持ちだけで、Thank you!Thank you!と感謝してお引取り頂きたかったのだが、諦めきれないらしく“my medicine”と言いながらかなり長いこと立ち去らなかった。
そんなこんなで少し見直した?インド人と少しだけ親しくなったので世間話をしてみると、これから息子の家に行くという。
息子の話をするときは、さすがのインド人もちょっと誇らしげでうれしそうだった。結構かわいいかも。
サンフランシスコに着いて暖かく見送ろうとすると、とたんに“my baggage,my baggage!”と騒ぎ出した。
心配しないでも、ちゃんと返すっつーの!心配しなくても、あんな重いの誰にも盗られないよ!


インド人はやっぱりインド人であった・・・。
 
By ほろ酔いくま