トップ > e-デス ちゃんねる > 愛すべきお客様 > ドッキリ中国人

ドッキリ中国人

 
 
  ドッキリ中国人  
 
以前ニューヨーク行きのフライトでのこと。
エコノミークラスに中国人らしき2人連れの青年がいた。
離陸して食事を出そうとすると、彼らは2人ともいらないと言った。
その時はそーか、いらないんだ、と軽く思っていたが、そのうち具合でも悪いのかなと思い始めた。
静かな2人ではあるが、そんな様子でもない。
きっと乗り継ぎでもしてきて疲れているに違いない。
しかし2人はずっと起きていた。
でもさすがにニューヨーク、長時間のフライトなので、しばらくすると眠っていた・・・。


そして2回目の食事サービス、今度はどうかなと気にしていると、2人とも食べるという。
そりゃー、さすがにお腹もすくだろう、何も食べてないのだから・・・。
私もちょっと安心して、彼らに話かけてみた。
(ええと・・何にしようかな?)“Are you from China?”
もぉー、中学生じゃないんだから、自分でもボキャブラリーのなさと、もっとマシな言葉がけができんのかとつっこみたいぐらい情けない。
私は彼らが当然答えてくれるものと思っていた。
しかし予想に反して彼らは黙ったままで、表情が硬くなってしまった。
えー、何か悪いこと言ったかな?もしかして中国人じゃなくて、しかも中国人に間違えられたのがイヤだったのかな?食事の件はOKになったものの、今度はまた違うことで悩んでしまった。
・・・でも到着してまもなくその訳がわかった。

彼らは入国審査で止められていたのである。
私たちがそこを通り過ぎるとき、うなだれて座っている2人を見た。
私は昔見た映画「ホワイト・ナイツ」を思い出してしまった。
ミハエル・バリシニコフが旧ソ連からアメリカへ行く飛行機のトイレの中で、自分のパスポートを破っているところをだ。
手に汗握る、すごいシーンだった。
見た感じ彼らは亡命しようとしたとは思えないが、ビザなどの不備があったのは確かだ。
それをできれば突破したかったに違いない。
たぶん道中うまく入国できるかとてもドキドキしていたに違いない。
そこへ私の変な質問・・・。
なんでそんなことを聞かれるのか、もしかしてもうバレてる?とさぞびっくりしたであろう。
それを思うと、いろんな国にほとんどビザなしで行ける日本人ってありがたい!!
 
By ほろ酔いくま