トップ > e-デス ちゃんねる > スッチー裏のカオ > 初めての体験

初めての体験

 
 
  初めての体験  
 
今ではヨーロッパも、ニューヨークも直行便になってしまったが、まだ欧州便がアンカレジ経由で行っていた時のこと。
私はチェックアウトして初めてのヨーロッパ。
アンカレジ経由のアムステルダム10日間のパターン。
まだ、フライトの準備としては、マニュアルの準備、そして洋服などの衣類の準備でOKと思っていた。
もちろん、観光ガイドは持って行ったが。


アンカレッジには、早朝に着く。夜中の仕事で一睡もしていない為、夕方、6時に夕食の約束を先輩達として、先ずはひと寝入り。
6時になると、熊が冬眠から目覚めたように、のこのこと皆起きてくる。起きたばかりなのに、結構お腹が空いているものだ。
勢いよく食べて飲んで、また部屋に帰る。あれだけ寝たにも関わらず、お腹がいっぱいなものだから、英語しかやっていないテレビをみているうちに、英語が子守唄のようになりまた寝てしまった。
本当に我ながら、クルーは動物本能のまま生きていると感じる。
夜中の3時頃、スッキリとした目ざめで起きる。この、目の覚め方がまたスゴク爽快な目覚めな為、もうひと寝入りなどという気にはなれない。
すると、いじょうにお腹が空いていることに気がつく。
あれだけシコタマ食べたのに、このお腹はどうなっているの?と不思議に思うぐらい空いている。
それも、空腹すぎて胃が痛いぐらいだ。
ルームサービスを頼もうとメニューを見ると、夜中のサービスはなく、コーヒーショップのオープンは6時からだ。
スーツケースの中には、洋服と本のみで食べ物は一切なし。目の前が真っ暗とは間さにこのこと。
その時、初めて気がついた。先輩達がホテルにチェックインした後、スーパーやホテルの下でチョコレートやポテトチップスなどを買っていた理由が。
ジャンクフードをあまり食べる習慣がない私は、「みんなお菓子が好きだなー」と思っていたのだが、あれは、好きだから買っているのではなく、非常食だったのだ。
何も持っていない私は、それからの3時間がなんと辛かったことか。
コーヒーショップの朝食のメニューを熟読したり(読んでもお腹がいっぱいにならないことは解っているが、1秒でも早くオーダーしたいため)、気休めに本を読んだりしたが、お腹が空きすぎて集中力ゼロだ。
これこそただ、字を目で追っているだけ。
ああ〜、腹と背中の皮がくっつくってこうゆう事を言うのかと実感。
それにしてもこんなにお腹が空いたのは初めてだ。今まではお腹が空いたら何かしら、口もする物があるが、一個もない。
「ア〜、機内のおつまみが1個あったらな〜。」とか、「あのビジネスクラスのチョコレートを1個おろしてくればよかったー」などと、思うは食べ物のことばかり。
テレビなどで戦争中、食料難で大変だったなど聞いたことはあるが、当時の人はさぞや大変だっただろうとこの時思ったりなんかした。


朝6時の時報とともに、コーヒーショップに行ったら、数人の先輩達も6時ぴったりに降りてきていた。やはり、お腹が空いて眠れないらしい。
私がヒモジイ思いをした話しをしたら、皆、一度は経験しているらしい。それからというもの、食べる食べないに関わらずホテルに着いたら食料を買い込む事にした。(これはほとんどのクルーがしていること)
熊が冬眠する前に食料を保存するようにね。
こんなことから、クルーが食べ物に対する執着心が強くなるのかとつくづく思う今日この頃であった。
 
By 怪獣ボスデスモン