食の都、香港で何を食べようか。限られた日程の中で厳選された美味しいものを戴きたい・・・誰もが願うことであろう。
ならば、ぜひここで紹介する四川料理は如何だろうか。
場所は香港島の繁華街、コーズウェイベイ、四川の赤で統一された小綺麗な店内、客層は場所柄、店の勝手を知った地元の人々に混じり、欧米人を中心とした観光客がグループでやって来る。
店はいつの間にか満席である。
先ずは『ホット&サワースープ』。
色は赤黒く、いかにも辛そうな見た目であるが、濃厚なダシと爽やかな酢の酸味でバランスをとり、程よく胃が刺激され、まさに食欲に「火が点く」ようである。
次に、ここの名物料理、『Sizzling Chili Prawn』(エビチリ)。
客はテーブルの上に置かれたアツアツの鉄皿を囲み、ナプキンで上半身を覆うよう指示される。
店員がその皿の上に9割方出来上がったエビチリを流し込む。
すると、様々な香辛料や薬味で味付けされたチリソースがジュージュー音を立てて飛び跳ねるのである。
鼻腔を擽るその香ばしいソースの中で踊る大振りのエビ。
一瞬にして料理への「熱い」思いを掻き立てられる。
まさに視覚、嗅覚、味覚的と三拍子揃った絶品の一皿だ。
あちこちのテーブルで時間差で歓声が上がり、店内一体型で楽しめるパフォーマンス力たっぷりの料理である。
また、マーボー茄子はウマミの多いマーボーソースに程よく柔らかい茄子が絶妙に絡み、これまた未だ見ぬ料理への期待が高まるばかりである。
付け合せにオーダーした『インゲンの肉味噌炒め』、『青菜の炒め』は申し分なく美味で、この辺りが香港故に独自に進化を遂げた洗練された四川料理なのであろう。
『おこげの餡かけ』は最後を締め括るのに丁度良い優しいお味である。
また、デザートの『蓮の実餡のパンケーキ』や『胡麻団子』は上品な甘さでしつこさがなく、後を引く味わいである。
大人数で色々試してみたいレストランである。
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