2003年の夏はヨーロッパに熱波がやって来たため、ブドウの糖度があがり、ワインには大変良い年と言われています。
それで、行ってみましたボルドーへ。パリから一時間ちょっと飛行機に乗ればそこはワインの街ボルドー。街のホテルに荷物を置いて車をとばし、いざ、ブドウ畑へ。あらかじめ予約しておいた時間に合わせてシャトーへ直行。
今日はボルドーでも1級のオー・ブリオン見学。
さて、ここで、豆知識。1855年の格付けで5つのシャトーが1級に認定されました。シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・マルゴー、この4つのシャトーはメドックと言う地区から、そして、唯一、グラーブと言う砂利の多い地域から1級にランクインしたのがこのシャトー・オー・ブリオンです。
1953年のグラーブの格付けでも見事1位の座を射止めました。ここのワインは最高峰の一つと言っても過言ではありません。
このシャトーを案内してくれた方が冗談で、「ここは街に近いから、ブドウ達は車の排気ガスで美味しくなるのよ。」なんておっしゃっていましたが、この言葉に表れているように他のシャトーに比べて街に近くて、その分、気温が少し高いのでブドウは他の畑よりも早く熟しやすく、収穫も早いのだとか。なるほど、街に近いことがブドウにも影響しているのね。
このシャトーは1935年、アメリカのケネディの財務長官を務めたダグラス・ディロンで知られる、ディロン一家がオーナーになり、83年には周りの4つの畑も購入。今も83年の時と同じチームがブドウの世話をしています。
ここは、新しい技術も積極的に取り入れていて、1961年に発酵槽をステンレスタンクに変えました。これはボルドーではトップ。74年には醸造所内に研究室を設置して病気にかかりにくいブドウの木を研究しているとか。
見学コースの最初にご自慢のステンレスタンクが登場。普通の年はこの大きなステンレスタンクの17から18杯分がブドウの果汁で一杯になるのだけれど、今年2003年はとても暑くて実から水分が蒸発し12タンクぐらいしか絞り取れないのだそう。暑さで早く熟して、しまい、糖の分量が少し多めだとか。ブドウの実の出来はいいけれど、ワインとなると酸と糖のバランスが良くないといけないから、ある意味、今年は難しいかも。との声もあります。
一見ズンドウのステンレスタンクは、中で下に降りてきたブドウジュースの4分の3をポンプで上に持ち上げ循環させてアルコール発酵と醸しをしているとか。
毎日、テイスティングして醸しを確かめていると聴き「ワイン作りは手間暇かかるのね」と実感。
話しを聞いている最中、中庭の広場に丁度、摘まれたばかりのブドウ達がトラックに運ばれてやってきた。ステンレスの大きな受け皿にザーッと流し込まれ少しづつ潰されていく。食用のブドウよりも小粒で色が濃い。一年間この日を待っていたブドウ達に出会えて、収穫の時季に来て良かったと改めて感動。
広い中庭を渡って一つの倉庫にたどりつくと、そこはワインに使う樽を製造しているところ。分かりやすく樽作りの道具も展示してあります。木から選んで作る樽は職人の手間と暇がかかり、お値段も一つが7万円から8万円はするのだとか。一人前の職人になるには長い修行が必要だそうで、樽をシャトーのオーダーどおりに焦がすのもまさに職人の技らしい。樽に使う木は樹齢120年は経っていないと木目が細かくなくて使えないらしい。また、ふしなどがあっても樽にはなれないのです。一本の木から樽になることができる部分はわずかだとか。
他のシャトーではここまで樽の作り方を詳しく見せてくれるところはあまりないけれどこのシャトーは作りかけの樽や焦がし方まで見せてくれてとても分かりやすいと感じました。
最後にお待ちかねの試飲。近年のものをテイスティングさせてくれました。
まだまだ、戴くにはもったいない、長く寝かせたい感じのワインでした。でも、果実味がパワフルで美味しかったです。
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